AIの活用方法を知る

AIの基礎的な知識からビジネスにおけるAI活用事例まで
AIのプロジェクトを始める際に役立つ情報をお届けします。

AIの身近な活用事例

AIはすでに身近なさまざまな場面で活用されています。具体的には、アパレル業界や小売業界における需要予測、物流業界における倉庫内分析、出版業界や金融業界などにおける校閲・校正支援など、AI活用の場面は大きく広がりつつあります。

AIを活用することで、売上向上やコスト削減、信頼性担保、監視・管理、人員不足解消などのメリットが得られます。このページではこれら得られるメリット別に、AIの身近な活用事例をまとめました。

売上向上

課題:経験や勘に頼っていたものを明文化して再現性を高くすることで、売上を伸ばしたい

  • 需要予測 アパレル/小売

    アパレル業界はトレンドの変化が早く、過剰在庫や廃棄量の増加が問題となっています。従来はトレンドや需要の予測、それに伴う値引金額の決定は現場の経験値を頼りにすることが多く、現場責任者やエリア担当者は頭を悩ませていました。

    AIによる需要予測を活用することで、流通データなどからトレンドや需要を予測して顧客の購買行動を把握し、商品企画や在庫管理などに生かし、売上向上や過剰在庫の削減はもちろん、値引き金額を確定するといった活用が期待されます。

    また、スーパーやコンビニ、自動販売機などの小売業界でも、在庫や売上、天候のデータなどを基にしたAIによる需要予測の活用は進んでいます。AIによる需要予測に基づき、商品を発注する事例も多いです。発注時間を短縮し、従業員は接客業務や売り場メンテナンスなどに注力できるなど、適材適所により生産性をあげることで、働き方改革や小売業界の成長に繋がると期待されています。

    活用技術
    時系列データ解析、画像認識
    データ
    流通データ、販売実績データ(POSデータ)、天気情報など
    期待できる効果
    売上向上、過剰在庫削減
  • 店舗来客分析 小売

    AIによる店舗来客分析では、画像データから性別/年代などの来客属性や来客の動きなど推定・分析することで、これまで取得できていなかったリアル店舗でのデータを詳細まで可視化できるようになります。

    コンビニなどの小売店舗や飲食店では、レジや販売機などにより「どのような商品がどの時間帯に売れたのか」「どのような年代/性別の顧客がどの商品を購入したのか」などのデータを取得しています。来客者属性の推定データと売り上げデータを照合することで、来客者の年代や性別ごとの嗜好を詳細に把握することも可能です。

    AIによる店舗来客分析を導入することで、担当者の経験や勘に頼っていた仮説や効果検証が数値ベースで可能になり、「どこに何の商品を配置するのか」といった改善施策の成功角度や再現性の向上により、売上を伸ばすことが期待されます。すでにコンビニなどの小売店舗や飲食店などが多くの実証実験を実施しています。

    活用技術
    画像認識
    データ
    画像データからの来客属性(性別/年代/カートを持参しているかなど)や来客の動きなど
    期待できる効果
    売上向上、業務効率化、過剰や食品ロスの削減

コスト削減

課題:費用や時間など発生するコストをできる限りカットしたい

  • 倉庫内分析 物流

    近年、流通業界ではEC市場が急速に拡大しているにもかかわらず、労働力不足により作業者の確保が難しく、人件費や運送費の高騰も叫ばれています。AIによる倉庫内分析では、倉庫内に設置したカメラから作業者の行動やモノの位置などを追跡・分析し、要員計画や入出庫作業指示、倉庫内の導線、レイアウトなどを最適化することで、コスト削減が期待されています。

    活用技術
    画像認識(物体検出)
    データ
    倉庫内で撮影した映像データ
    期待できる効果
    コスト削減
  • 点検の自動化(コンクリートのひび割れ検出) 建築・不動産

    1960〜1970年代の高度経済成長期に建設された多くの建造物の老朽化が進んでおり、コンクリートのひび割れなど経年損傷への対応が急務になっています。しかし、管理している国・地方自治体での点検に割ける職員は限られており、人手不足が進んでいることから、目視点検の作業を効率化する動きが盛んです。

    AIを活用することで、画像データからコンクリートのひび割れなどを自動で高い精度で検出し、損傷を把握できるようになります。すでに試験導入により、作業員の負担軽減だけではなく、作業時間やコストを大幅に削減できた事例も出ています。

    活用技術
    画像認識(物体検出)
    データ
    コンクリート表面を撮影した映像データ
    期待できる効果
    コスト削減、作業時間の短縮、作業者の負担軽減

信頼性担保

課題:精度を向上させて、企業や製品の信頼性や安全性を高めたい

  • 校閲・校正支援 出版

    出版業界では出版物の原稿などの校閲・校正業務が大きな負担となっており、AIを用いた校閲・校正システムの導入が進められています。校正・校閲業務にかかる時間を短縮したり、校正・校閲業務の負荷を軽減したりといった効果が期待されています。

    AIを用いた校閲・校正システムは出版業界以外でも、金融業界や製薬業界などで活躍の場を広げています。さまざまな業界において校閲・校正業務は特定の担当者が担当している場合が多く、チェックの負担や校正スキルの属人化などが課題となっていました。AIを活用することで、業界や企業特有の表記や専門用語を学習し、基準に合わせて誤表記を検出することで、ヒューマンエラーを減少させることもできます。

    活用技術
    テキスト解析
    データ
    業界・企業特有の表記や専門用語
    期待できる効果
    信頼性担保、作業者の負担軽減
  • 土地や不動産の価値判断 不動産・建築

    不動産業界や建築業界では、不動産会社や建築会社の社員、専属の不動産コンサルタントなどが土地や不動産の価値を客観的に分析・診断しています。しかし、過去の売買事例の調査など業務の負担が大きく、課題を抱えていました。AIによる土地や不動産の価値判断により、透明性の確保はもちろん、時間や場所を問わず気軽に短時間で状況を確認できる効果が期待されています。

    活用技術
    時系列データ解析
    データ
    不動産データ(立地、駅徒歩分数、建物構造規模、築年数など)
    期待できる効果
    コスト削減
  • がんの検出による診断支援 医療

    これまで内視鏡検査は医師による病変の見落としの危険性があり、限られた時間内で大量のWチェックを目視で必要があるため、医師への負担が危惧されていました。そこで、近年、内視鏡画像をAIで解析し、内視鏡検査中に映っている病変を推測・検出する取り組みが進められています。がんの予防や早期発見に寄与するだけではなく、医師の負担軽減にもつながると期待されています。

    活用技術
    画像認識
    データ
    内視鏡画像データ
    期待できる効果
    がんの予防や早期発見、医師の負担軽減

監視・管理

課題:長時間の定点観測など監視/管理をしたい

  • 電力の需要予測 インフラ

    従来、多くの電力事業者は気象や暦が類似している日の実績を考慮し、独自に計算した電力需要予測を基に電力を取引しています。電力需要予測の細かい修正には人手が必要であり、精度の高い電力需要予測のためには熟練の従業員が必要でした。

    AIを活用した需要予測では、電力会社が保有する消費電力などの実績データや最新の気象予測などをAIが学習し、高い精度で電力需要を予測します。すでに新電力事業者などで採用されており、需要予測の精度向上、電力調達や計画の効率化によるコスト削減などの効果が出ている事例もあります。

    より高精度な電力需要予測ができれば、調達量を最適化できるため、SDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられる環境負荷の低減にもつながります。また、電力会社は各家庭の顧客に電力利用状況を合わせたプランの提案も可能です。

    活用技術
    時系列データ解析
    データ
    各家庭の電力使用量の実績や地域の気象データ、衛星データなど
    期待できる効果
    監視/管理
  • 作付け把握による
    農地管理の自動化 農業

    従来、作付けの把握は地方自治体の職員などがわざわざ現地に足を運び、判別・記録する必要があり、大きな負担になっていました。AIを活用することで、現地に行かずとも衛生データやドローンからの空撮映像からAIが自動判別して、作付け状況を把握できるようになります。地方自治体の職員などは精査が必要と判断された農地のみドローン画像を使って詳細を確認するだけなので、大幅な工数の削減が見込めます。

    活用技術
    画像認識
    データ
    衛星データ
    期待できる効果
    監視/管理、作業者の負担軽減
  • フォーム調節の支援 スポーツ

    従来、ランニングやゴルフ、ダンスなどのスポーツの指導は専門家やトレーナーの経験や感覚値などに依存しており、プレイヤーは試行錯誤を繰り返す必要がありました。近年、AIによる画像解析を活用することで、スポーツ時にプレイヤーのフォームを解析する取り組みが身近になりつつあります。サービスによってはプレイヤーが抱える課題を数値化するため、専門家やトレーナーのアドバイスを受けずとも、理想のフォームに近づけることが容易になりました。

    活用技術
    画像認識(姿勢推定)
    データ
    フォームの映像
    期待できる効果
    監視/管理、コスト削減

人員不足解消

課題:少子高齢化や人口減少などによる人手不足は深刻であり、省力化や自動化で人員不足を解消したい

  • 顔認証決済 金融/小売

    近年、中国ではAIを活用した顔認証による決済が普及しています。アリババグループが提供する「Alipay」や、センテンスが提供する「WeChat Pay」をはじめとした顔認証決済が可能なサービスの普及が進んでいます。

    日本国内でも大手コンビニやファミレスなどで実証実験が実施されています。実証実験では利用者は事前に専用端末で顔画像やクレジットカード情報、確認用コードを登録し、セルフレジ支払い時に顔と確認用コードの2要素認証によって決済できるといったシステムなどが試されています。

    小売店舗はレジの処理時間を短縮し、レジ打ちスタッフが不要になるため、人件費を抑えられます。また、消費者はレジで決済する際に財布もスマホも必要なくなり、レジの前に立つだけで決済が完了し、レジ処理時間が短縮されるため、レジで待つ時間が短縮されます。日本では利便性だけではなく、セキュリティーも向上する必要があるため、顔と虹彩を組み合わせた認証の活用なども視野に入れられています。

    活用技術
    画像認識
    データ
    顔の画像データ
    期待できる効果
    人員不足解消、時間の短縮、ユーザーの満足度向上
  • 検査の自動化 良品不良品判別

    熟練作業員でないと検査の精度や時間がばらつくことや長時間の高負担作業であることが課題でした。できるだけ低コストに労力をかけずに安心安全の信頼を担保していくために、従来、目視で実施していた作業をAIで自動検品するシステムや装置の開発が進んでいます。

    活用技術
    画像認識
    データ
    検出したい良品・不良品の画像データ(※良品のみで学習する場合もある)
    期待できる効果
    人員不足解消、信頼性担保
  • 配達ルート最適化 物流

    物流業界では、Amazonなどオンラインショッピングの普及に伴って、配達件数や頻度が増加し、配達の効率化が課題となっています。そこで、AIを活用した配達ルート最適化による移動時間の短縮やベテラン配送運転者のノウハウの形式知化などに向けた取り組みが行われています。

    活用技術
    時系列データ解析
    データ
    GPS等から取り込んだ実走データ
    期待できる効果
    人員不足解消

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